「街の赤ずきんと迷える狼」 中原一也さん
社会秩序を守るため、酒と煙草の違法入手が禁じられた未来・・・
街中を縦横無尽に飛び回り、移動できる技・・・パルクールを使い
警視庁の精鋭特殊部隊 "ウルフ" が危険な地区を取り締まる中
その"ウルフ" をも翻弄する謎の運び屋 "赤ずきん"との攻防は
躍動感あふれる描写に疾走感がありとってもかっこよかったです!
捜査中、"ウルフ" のリーダー向井が初めて"赤ずきん“ に追いついた時、
「自分が信じているものが本当に正義なのか、疑ったことはないのか?」
と問われます。その後もたびたび向井に接触してきては
"赤ずきん" こと工藤が残すヒントを調べるうちに
これまで信頼していたものへ疑問がわいてきて・・・。
正義はどちらにあるのか・・・。
その疑問が向井が以前、犯人に撃たれて死にかけた時に
「死ぬなよ、新米」と助けてくれた男の存在の謎とも重なってきます。
最初はパルクールを使っての捜査のスピード感にハラハラし
話が進むほどに心理的なものも含めてスリルが増して
ハラハラ、ドキドキ!!
そしてウルフのリーダーである向井さへも凌ぐ
パルクールの技の持ち主である工藤の行動はかっこいいけれど
向井への言葉や仕掛け方はオヤジ臭い・・・けれどそこがまたいい。(笑)
良い意味でおやじ臭くてシブくてえろいところは、さすがの中原作品。
えろかわオヤジを書かせたらこの作者さん、天下一品!間違いなし!!(笑)
向井が嗅覚が鋭く、卓越した身体能力をもち、捜査官としてとても優秀なのに
綺麗好きが高じた無意識の癖に笑えたり、ホクロの描写がえろかったり、
ロシア人の祖母との思い出が上手くいかされていたり。
犯罪被害者の辛さや切なさまで盛り込まれていて、
それぞれBL的バランスが私にはちょうど良く感じました♪
テンポ良く、ストレスフリーで楽しめる1冊です!
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